鋭い追及に、ソフィアはハッと目を見張る。
確かにレイモンドの言うとおりだ。
レイモンドの話では、彼はイシュから「今すぐ離縁しろ」と迫られている。実家のハリントン家にも伝えていない契約結婚の期日まで知っているイシュを、恋人だと誤解するのは当然のことだろう。
それでも、違うものは違うのだ。イシュとは恋人ではない。
だが、全てを明かすことはできなかった。
「彼……イシュは、学生の頃からの友人です。久しぶりに帝国に来たので、近況を話しただけですわ」
「友人だと? さすがにそれは無理があるだろう。俺との契約結婚の期日を知るあの男を、ただの友人だと信じられるほど、俺は鈍感じゃない」
「…………」
「ソフィア、正直に言ってくれ。俺は君を責めるつもりはない。ただ、君の心を知りたいんだ。俺の想いが、これ以上君を苦しめてしまってはいけないから」
「……苦しめる? それは、いったいどういう意味でしょうか」
「君は誠実で、正義感の強い女性だ。もし君が本心ではあの男と共に行きたいと思っているのに、俺との契約のせいでこの場に留まっているのだとしたら……それは俺が、君を苦しめていることになる」
「――!」
ソフィアは言葉を失ったまま、潮風に揺れる髪を押さえた。夜空の星々が瞬く暗闇の中で、レイモンドの真っすぐな眼差しが痛いほど胸に突き刺さる。
(どうして、この人はいつもこんなに真っすぐなの……? わたしは誠実なんかじゃない。何もかもが偽りで……今だって、あなたに隠し事をしているのよ? なのに……)



