明日の恋は、晴れるかな――。

 高校二年生の夏、私は大失恋した。

 相手は私といい感じだった、ひとつ年上の先輩。

 先輩に、すごく可愛くて性格もよさそうな彼女が出来た。幸せそうなふたりを見て、心が痛んだ。

 ずっと泣いた。
 思い出すたびに泣いた。
 別のことをしてても思い出してしまう。

 そんな日々を過ごしていた時。

「一緒に帰ろ?」
「どうしたの? 誘ってくるの珍しいね」

 教室で帰る準備をしていると、同級生で幼なじみの雪斗くんが私の教室に来た。雪斗くんは隣に住んでいる幼なじみ。

 帰り道、バスに乗り、一番後ろの席に並んで座った。

「大丈夫?」

 雪斗くんは私の顔を覗き込み、心配そうな表情で尋ねてきた。

「何が?」
「目が腫れてるから」

「……失恋したから、いっぱい泣いた」
「……そうだったんだ」

 雪斗くんは外に視線を向けた。

 雪斗くんは優しいから、多分、今、私の心の傷を広げないように言葉を探してくれてる。

「あんまり気を遣わなくても、いいからね?」
「うん」

 私は笑顔を作ってそう言った。
 雪斗くんも合わせて笑顔を作ってくれた。

 それから、うちの近くのバス停に着くまで、ふたりは無言だった。

「ちょっと、寄り道していかない?」
「いいよ」

 雪斗くんからそう言ってくるのは珍しい。

 家の方向とは逆の道を歩き、川の流れがはっきりと見える橋の上に来た。

 無言で川を眺める私たち。
 眺めていると頬に水が当たり、ぱらぱらと音が流れてきた。

「あ、小雨だ。最近毎日雨降ってるよね」

 そう言いながら私は視線を少し上にやる。
  いつの間にか、黒い雲が空をおおっている。

「そうだね。一瞬の日もあるけど、毎日だね」

 雪斗くんも同じ方向を向いた。

「なんか、私の心みたい……もう、恋なんてしたくないな」

 しばらくふたりで冷たい雨を浴びながら、空を見つめる。

「……僕じゃ、駄目かな?」
「えっ?」

 私は勢いよく雪斗くんを見た。

 どういうこと?
 もしかして――。

「僕じゃ、駄目だよね。でも、いつでも待ってるから……ずっと、隣にいるから」

 どう返事をすればよいのか分からずに、ただ雪斗くんの顔を見つめていた。

 雨の勢いが強くなる。

「帰ろっか」

 雪斗くんが手を差し出してきた。
 私は雪斗くんの手をぎゅっと握った。

――あたたかい。

 急に、ドキドキが溢れてきた。

 止まない雨はない。
 この雨の後は、快晴かな?


 明日の恋は、晴れる予感――。


☆。.:*・゜