そして、イルミネーションが街並みを盛り上げ、粉雪が舞い雰囲気を高めるクリスマスイブ。
この日わたしは、匠海と賢ちゃんのお店"SEVENS BAL"へ行く約束をしていた。
すると、定時5分前に帰る支度が済んだバッグの中からブブッとスマホが振動する音が聞こえてきた。
(ん?誰だろう。)
そう思いながらスマホを取り出し、画面を見てみると、メッセージの新着があり、送り主は匠海だった。
『ごめん!少しだけ残業になりそう!悪いんだけど、先に賢司さんのお店行っててくれない?本当にごめん!』
匠海からのメッセージを見て(こんな時でも忙しいなんて、本当お疲れ様だなぁ。)と思いながら、わたしは『わかったよー』と返信をした。
それからすぐに定時を迎え、次々に帰宅して行く社員たち。
わたしもその中に紛れて外へ出ると、白い息を吐きながら"SEVENS BAL"を目指した。
(今日もお店混んでるんだろうなぁ。)
そう思いながら、いつものように"SEVENS BAL"へ訪れたわたしは、重たく分厚い扉を押し開け、中を覗いた。
すると···――――
「えっ?あれっ?」
毎年、クリスマスイブは混雑しているはずの店内には、来客が一人も居らず、そこには賢ちゃんの姿、それから·······
「え、匠海?!なんで?!」
そこには何故か、店内に置かれているグランドピアノの前にスマートに立つ、匠海の姿があったのだ。
「どういう事···?」
困惑するわたしに近付いて来た賢ちゃんは「いら〜っしゃい!」と言うと、わたしの肩に手を置き、店内へと促した。
「さあ、椿沙はここに座って!」
そこは、グランドピアノの前に置かれた一つの椅子で、まるでピアノ演奏を聴くには特等席のようだった。



