眠れぬ夜を抱きしめて


そして完成した料理たち。
テーブルには、匠海の好きなものばかりを並べ、いつもよりも少し良いキャンバスで乾杯をした。

「匠海、30歳のお誕生日おめでとう。」
「ありがとう。」

そのあと、食事を始める前にわたしは匠海に用意していたプレゼントを渡した。

「はい、誕生日プレゼント。」
「えっ!マジ?!用意してくれてたんだ。」
「当たり前でしょ?」
「ありがとう!開けていい?」
「うん。」

そうして、紙袋から取り出した長方形型の箱をゆっくりと開ける匠海。

すると、その中の物を見た匠海は「えっ?!え、えっ?!これって!」と予想以上に驚いてくれた様子だった。

「応募したら、当たったの。」
「えっ!!!凄っ!!!」

わたしが匠海にプレゼントした物とは、『エバー·ファンタジーIII』15周年記念キャンペーンで抽選プレゼントされるB賞の"ネクタイとネクタイピンのセット"だったのだ。

以前、ネットでこのキャンペーンを見掛けた時に匠海が「B賞いいなぁ。」と言っていた事があり、密かに応募して、それが何と当選したのだ。

「これって、抽選3名までじゃなかったっけ?!」
「そう。」
「それ当てたの?!凄すぎだろ!」

予想以上に喜んでくれた匠海は、ネクタイを取り出して眺めると「使うの勿体ねぇー!」と言っていたが、わたしが「使ってよぉ。」と言うと、「使う使う!使わせていただきます!」と言い、ネクタイを大切そうに箱へ戻すと、「椿沙、本当にありがとう。」と言って、わたしを抱き締めた。

(匠海が喜んでくれて良かった。)

匠海が喜んでくれる姿を見ると、わたしまで幸せになり、本当に良かったと心からは思った。
それから「ほら!ご飯冷めないうちに食べよ!」と促したわたしの言葉により、二人きりの誕生日パーティーが行われた。

わたしが作った料理一つ一つも「美味しい!」と言って食べてくれる匠海。

わたしは、そんな匠海を見ているだけでお腹いっぱいになるような気分だった。