眠れぬ夜を抱きしめて


それから新年会も終盤に差し掛かり、周りの人たちが二次会の話をし始める。

すると、既にかなりお酒が入った様子の飯塚さんが近付いて来て、二次会のお誘いにやって来た。

「柳田課長は、二次会どうします〜?」
「俺は遠慮しておくよ。」
「さすが、柳田課長ですね〜!愛する家族が待ってますもんねぇ!」
「はははっ、まぁね。」

柳田課長に二次会の参加確認をした飯塚さんは、次にわたしの方を見ると「志筑さんは?」と訊いてきた。

「わたしも遠慮しときます。」
「えー、たまにはおいでよぉ!邑瀬が寂しがるからさぁ!」
「大知は、飯塚さんが居てくれれば問題ないと思いますよ。」
「そんな事ないって!ねっ?志筑さんも行こうって!」

今日はやたらとしつこく絡んでくる飯塚さん。
そんな飯塚さんに「飯塚くん、無理に誘うのは良くないよ。」と柳田課長が注意してくれた。

「···はいっ、すいませんでしたぁ〜!」

柳田課長の言葉にスッと静かになった飯塚さんはそう言って、テーブル席へと戻って行った。

「飯塚くん、かなりでき上がってるなぁ。」

そう言って苦笑いを浮かべる柳田課長。
わたしは「そうですね。」と言うと、後ろを振り返り、飯塚さんに肩を組まれ笑っている大知に視線を向けた。

(飯塚さんの相手も大変そうだなぁ。)

そうこうしている内に新年会は終了を迎え、わたしたちはお店の外へと出た。

「寒〜っ!」

温かい店内から冷え込んだ外に出て、みんなが白い息を吐く。

すると、お店から少し離れた街路樹の近くに匠海が白い息を吐きながら立っているのが見えた。

「あれ?あそこに居るの、雨笠さんじゃない?」

第2事業部の一人が匠海の存在に気付き、周りが「えっ?どこ?」「あ、本当だ。雨笠さんだ。」とざわつき始める。

そんな中、わたしが匠海に近付こうとすると、後ろから誰かに手首を掴まれ、わたしは立ち止まり後ろを振り返った。

「待てよ。」

そう言って、わたしの手首を掴んでいたのは、わたしに真剣な眼差しを向ける大知だった。