わたしはスマホを握り締めたままベッドから飛び降りると、ニットカーディガンを羽織り、玄関へと走った。
そして玄関の扉を開けると、丁度エレベーターが7階で停まり、ゆっくりとエレベーターの扉が開いた。
その扉の向こうに見えたのは、新年会帰りでスーツ姿に黒いコートを羽織った匠海の姿だった。
「椿沙、わざわざ出迎えてくれたの?」
エレベーターから降りて来て、微笑みながらそう言う匠海。
わたしは匠海の姿を見て気が緩んでしまい、何故か涙が出て来てしまった。
「えっ!椿沙?!どうした?!」
突然泣き出すわたしを見て、焦る匠海はオドオドしていた。
わたしは「分かんない、でも···何か、匠海の姿見たら、安心した。」と言い、ニットカーディガンの袖で涙を拭うと、匠海を見上げた。
「おかえり。」
わたしは笑顔を作ってそう言った。
すると、そんなわたしを見下ろし、優しく微笑む匠海は「ただいま。」と言い、そっとわたしの手に触れ、指先を握り締めてきた。
「明日も仕事だし、寝よっか。」
「うん。」
そう言って、わたしたちは匠海の家に入り、わたしは先に寝室へ行って、微かに聞こえてくる匠海がシャワーを浴びる音を聞きながら、匠海が来るのを待った。
そしてシャワーを浴び終えた匠海は、「うわっ!寒っ!」と言いながら、急いで布団に入り込んで来て、匠海は悪戯に冷たい手をわたしの頬に触れてきて、「冷たい!」と言うわたしの反応に笑っていた。
「でも、あったかい。さっきは、一人で布団に入った時、寒かったから。」
わたしが呟くようにそう言うと、匠海は「ごめん。もっと早く帰って来れば良かったな。」と言い、布団の中でわたしの手を握り締めた。
「でも、本当は二次会誘われたりしたんじゃない?」
「ん?まぁ······」
「それでも帰って来てくれたんでしょ?ありがとう。」
わたしはそう言うと、匠海の手を握り返し、目を閉じた。



