「匠海ちゃんって、天然記念物よね〜!あんなに美形で身長も高くて、スタイルも良くて!モテないわけがないのに、彼女の一人も連れて来た事ないのよぉ〜?」
「え、そうなの?」
わたしがそう訊くと、賢ちゃんは優しく微笑み、わたしの鼻先をツンと突いた。
「椿沙。あんな良い男、そうそう居ないわよ?逃すんじゃないわよ?」
賢ちゃんはそう言うと、ニコリと笑い、わたしの頬を挟んで口を尖らせるようにした。
「椿沙だって、良い女よ?もっと自信持ちなさい?」
「自信っていったって···」
「でも、匠海ちゃんとは上手くいってるんでしょ?」
「上手くいって···るの、かなぁ···」
わたしが不安気にそう言うと、賢ちゃんはわたしの頬から手を離し、カウンターテーブルに肘を付いた。
「いい?椿沙。男って生き物はね、性欲の塊なのよ!」
「ちょっ!賢ちゃん、突然何言ってんの?!」
「普通の男ならね、すぐ手を出そうとしてくるものなの!でも、匠海ちゃんはどう?そんなイヤらしい事してきたぁ?」
真剣な表情の賢ちゃんの質問に対し、わたしは首を横に振る。
すると賢ちゃんは「そうでしょ〜?!匠海ちゃんは、紳士的な男なのよ!信頼できる、あたしの目に狂いはない!」と力強く言った。
「···実はね、賢ちゃんとの同居を解消して、引っ越した先のマンション···、偶然にも匠海と同じマンションだったの。」
「えぇ〜!!!何それぇ!運命じゃなぁ〜い?!」
「しかも、階数も同じで、隣同士で······」
「あら、やだぁ〜。これは神様に仕組まれてるわね!」
「だから···、結構仲は深まってる、と思う。一緒に料理して、ご飯食べたり···」
「うんうん!」
「わたし、それだけで···満たされちゃってるの。何ていうか、こんな気持ち···初めてで······」
わたしがそう言うと、賢ちゃんは嬉しそうに微笑んで、カウンターテーブルの上に置いたわたしの手の上に賢ちゃんの手を乗せて、キュッと握り締めた。
「椿沙。それが恋よ。今まで碌な男に出会って来なかったから、そんな気持ちにもなった事がなくて戸惑ってるのかもしれないけど、その気持ちを大事にしなさい。人を好きになる事は素敵な事なのよ。」
賢ちゃんはそう言って優しく微笑むと、「頑張りなさい。」と言って、小さく頷いた。



