そして、わたしが向かった先は、賢ちゃんが働く"SEVENS BAL"だ。
分厚く重たい扉を押し開け中を覗いて見ると、店内は思ったよりも混雑しておらず、わたしはすぐにカウンターに立つ賢ちゃんと目が合った。
「あらぁ!椿沙じゃないのぉ〜!あけおめぇ〜!」
今日もテンションが高い賢ちゃんの雰囲気につられて、つい表情が緩んでしまいながら、わたしも「あけおめ〜。」と言いながら、賢ちゃんが立つカウンターの目の前の椅子に腰を掛けた。
「久しぶりね!元気してたぁ?」
「うん、元気だよ。」
「あのあとから、どうなの?」
「えっ?あのあとって?」
わたしがキョトンとしながらそう訊くと、賢ちゃんはニヤニヤしながらグラスを拭き、「もぉ、やぁね〜!匠海ちゃんとの事よぉ〜!」と言った。
「た、匠海ぃ?どうって、別に···」
「仲良くなったのぉ?匠海、いい男でしょ?」
「うん、まぁ、そうだね···」
匠海との今の関係を賢ちゃんにどう話したら良いのか分からず、戸惑うわたし。
すると、賢ちゃんはわたしの好きなカルピスサワーを差し出しながら、わたしの顔を覗き込んだ。
「あら、やだ。椿沙、綺麗になったんじゃない?」
「えっ?何も変わらないよ。」
「いーや!綺麗になりました!その顔は、恋する乙女の顔よ!オカマの目は誤魔化せないんだからぁ〜!」
そう言う賢ちゃんは、「うふふっ!」と笑い、「もぉ〜、やっぱり何かあったんじゃない!聞かせなさいよぉ〜!」とウキウキしながら顔を近付けてきた。
「付き合ったの?」
「ううん、付き合っては、ない···」
「じゃあ、どこまでいったの?チューは?チューはした?」
「もお!してないってば!」
恥ずかしがりながらわたしが否定すると、賢ちゃんは何だか物足りなさそうに「なぁんだ。」と言い、「匠海ちゃんったら、あんな顔して奥手なのよねぇ〜。」と口を尖らせていた。



