感動のラストに、神曲の『WHITE ROSE』が流れ、涙を流すわたし。
すると、そんなわたしの隣でも匠海が涙を滲ませており、わたしたちは微笑みながら、お互いにティッシュを差し出して涙を拭いた。
「やっぱりいいなぁ〜。」
「うん。最初にプレイしたのは中学生の頃だったけど、大人になって見ると、また何か深いよね。」
「分かる。見方が変わるよな。」
そんな会話をしながら、エンディングを最後まで眺める。
そしてエンディングが終了し、『END』が表示されると、わたしたちは自然と拍手をしていた。
「はぁ···終わっちゃった。」
わたしがそう呟くと、匠海は「寂しいな。」と言った。
「うん···、でも、ありがとね。匠海のおかげで、また大好きな『エバー·ファンタジーIII』が見れた。改めてやっぱり好きだなぁって実感できたよ。」
「こちらこそ、最後まで一緒に見届けてくれて、ありがとう。」
そう言って、何だかしんみりしてしまうわたしたち。
すると突然匠海が「はぁ···どうしよう···」と言いながら、項垂れたのだ。
「えっ、どうしたの?」
わたしがそう訊くと、匠海はゆっくりと顔を上げ、わたしの方を見た。
「椿沙を誘うきっかけが···、無くなっちゃったから······」
「えっ?」
(わたしを、誘う、きっかけ?)
わたしが匠海の事を見つめていると、匠海は照れくさそうに頭をポリポリと掻き、「ゲームしなくなっても···、来てくれる?」と可愛らしい事を言い出したのだ。
「えっ、逆に···来ても、いいの?」
わたしがそう訊くと、匠海は唇をギュッと噛み締めたあと「実は、かなり寄り道してゲームのストーリーを進めてた。早く、終わらせたくなかったから。ゲームクリアしたら、椿沙が···来てくれなくなると、思ったから···」と言った。
匠海の言葉を聞き、確かにサブクエストをやったり、メインストーリー通りに進んではいないと思っていたが、そんな理由だったとは夢にも思っていなかった。
わたしは、匠海に対して最初に抱いた"イケメン"で"スマート"で"完璧"で女慣れしているのであろう印象からはだいぶ変わった、照れ屋で良い意味で"普通"の匠海の姿に、完全に心を射抜かれていた。
「匠海が来ていいって言ってくれるなら、わたしは···ゲームをしなくてもここに来たい。」
わたしは想いを伝えてくれた匠海の気持ちに応えたくて、恥ずかしい気持ちを抑えながらそう言った。
匠海はわたしの言葉に照れくさそうに微笑むと、「是非、来てください!」と言ってわたしに握手を求め、わたしはその手をギュッと強く握り返した。



