眠れぬ夜を抱きしめて


その後、大急ぎで支度を済ませたわたしは、大知と待ち合わせの約束をしている駅へと向かった。
駅に到着すると、そこには既に大知が居て、わたしに気付くと満面の笑みでこちらに向かって大きく手を振った。

「ごめん!お待たせ!」

息を切らせながら駆け寄るわたしに、大知は「全然返事こないから、無視されたのかと思ったよ〜。」と不満を口にした。

「ごめん、気付かなくてさ。」
「年越すまで起きてなかったのかよ。」
「いや、起きてたんだけど、そのあとすぐ寝ちゃったから···」

さすがに大知には、匠海と一緒に過ごしていた事なんて言えない。
ましてや、匠海の家に泊まったなんて···――――

「まぁ、最近寝不足みたいだったしな!じゃあ、行こうぜ!」

そう言って歩き出す大知に続いて歩き出すわたし。
元旦という事もあり、初詣に行く人ばかりなのか、道は混雑していた。

「迷子になったら困るし、手繋ぐ?」

大知はそんな事を言ってきたが、「いや、大丈夫。」とわたしはお断りした。

それから地下鉄に乗り、有名な神宮にやって来たわたしたち。
今日はかなり冷え込んでおり、もう少し着込んで来れば良かったと少し後悔した。

「凄い人だね。」
「そりゃあ、みんな初詣に来るだろ!」

参拝をする為に長蛇の列に並び、少しずつ前へと進んで行く。

そして、やっとわたしたちの順番が回って来て、二礼二拍手をして参拝を済ませた。

「椿沙は、何お願いした?」
「そんなの教えるわけないでしょ。」
「俺はね!恋が実りますよーに!ってお願いした。」
「いや、訊いてないけど。」

そんな会話をしつつ、大知がおみくじを引きたいと言うので、わたしも一緒におみくじを引く事にした。
色んな種類のおみくじがあったが、わたしはシンプルな一般的のおみくじを引く。

ちなみに大知は、縁結びみくじを引いたようだ。

「うわぁ〜、小吉だぁ。」

おみくじを引いて、残念がる大知。
その横でわたしが引いたおみくじを開いてみると······

「あっ、大吉だ。」

わたしが引いたおみくじには、"大吉"と書いており、"恋愛"の欄には"この人より他になし"と書かれていたのだ。