新年を迎え、わたしたちが目を覚ましたのは、お昼が過ぎてからだった。
お互い寝ぼけ眼のまま目が合い、寝起きの照れくささから「おはよう。」と言い合った匠海とわたし。
「眠れた?」
「うん。」
「そっか、良かった。」
そう言って優しく微笑む匠海の笑顔に、わたしは癒やされた。
そして、時間を確認しようと何気に手に取ったスマホを見て、この時初めて大知からメッセージが届いていた事に気付く。
「あっ······」
「どうしたの?」
「あ、いやぁ、大知からメッセージきてたの、気付かなくて···」
「邑瀬くん?」
開いたメッセージアプリには、大知から『あけおめ!今年もよろしくな!早速だけど、初詣行かない?』と届いていたのだ。
わたしは急いで『明けましておめでとう。ごめん、メッセージ気付かなかった。初詣いつ行く?』と大知に返信をし、それから『これから行こう!』と言うせっかちな大知の誘いから、元旦の起きてすぐに初詣に出掛ける事になってしまった。
「ごめんね!片付けもしないで···」
わたしがそう言うと、匠海は「気にしないで、行っておいで。昨日は俺が椿沙を独り占めしちゃったしさ。」と言って穏やかに笑った。
「あ、あのさぁ、初詣から帰って来たら···、また来てもいいかな?」
わたしがそう訊くと、匠海は少し驚いた表情をしてから、フッと柔らかい表情に戻り「いいに決まってるよ。」と答えてくれた。
「ありがとう!じゃあ、行ってきます。」
「いってらっしゃい。」
そう言って匠海に見送られ、わたしは急いで隣の自宅に戻ると、初詣へ出掛ける支度を始めた。
"いってらっしゃい"···――――
匠海が言ってくれたその言葉が、やけに嬉しかった。
何だか、同棲をしているように錯覚させられたからだ。



