「わぁ!美味そう!俺、唐揚げと玉子焼き好きなんですよ!」
「本当ですか?良かった!」
大晦日という事もあり、いつもは缶チューハイで乾杯をするわたしたちだが、今日はお洒落にシャンパンを開けて乾杯をする。
一口飲むと、口の中には爽やかな白ブドウが広がり、後味はスッキリしていた。
「じゃあ、唐揚げからいただきます!」
「どうぞ!」
そう言って、わたしが作ってきた唐揚げを頬張る雨笠さん。
雨笠さんは口元に手を添えながら「ん!めちゃくちゃ美味しいです!」と喜んでくれて、そのあとに食べた玉子焼きは「好きな甘さです!」と言い、筑前煮は「よく味が染みてて美味しいです!」と言ってくれた。
人に料理を振る舞い、こんなにも喜んでもらったのは初めてだ。
(賢ちゃんと一緒に暮らしてた時は、ほとんど賢ちゃんにご飯作ってもらっちゃってたからなぁ〜。)
そんな事を思いながら、自分で作った唐揚げを囓る。
唐揚げは、自分でも納得のいく味に仕上がっており、わたしはこの瞬間の幸せを噛み締めた。
それからお腹がいっぱいになると、余った料理は少しずつつまむ事にし、お酒を飲みながらゲームに切り替える事にした。
「今日は、クリスタル神殿に入るところからですよね!」
「そうですね。クリスタル神殿、景色が似てて、いつも迷子になっちゃうんですよね〜。俺、方向音痴なんで。」
「えっ!そうなんですか?!意外!」
完璧そうな雨笠さんの意外な一面を知れて、何だか嬉しくなる。
雨笠さんは自分で言った通り、クリスタル神殿に入ると同じ道をグルグルと回って歩いており、無駄にエンカウントを繰り返しては、予期せぬレベル上げ状況にわたしは笑ってしまった。
「次、右ですよ!」
「あぁ!ここかぁ!やっとセーブポイント着いたー!」
わたしのナビにより、何とか次のマップに辿り着き、ボス戦前の準備に取り掛かる雨笠さん。
何気無い、この時間がわたしにとっては幸せだった。
ただ、隣でゲームを見ているだけなのに、こんなにも胸が高鳴る。
雨笠さんの隣···この場所を誰にも譲りたくない···――――
わたしは、そう思うようになっていた。



