そして、いよいよ今年も終わる大晦日。
わたしは連日の寝不足で浮腫んだ顔を洗うと、朝からエプロンを着用し、キッチンに立っていた。
(今日は、わたしが何か作って持って行こう。)
何度か雨笠さんとは食事を共にしたが、特に苦手な食べ物については言っていなかった。
しかし、自分が無理をして失敗をしたくなかったわたしは、筑前煮と唐揚げ、伊達巻の代わりに厚焼き玉子を焼いて、大きめのタッパーに詰め込んだ。
(なんか、ピクニックに行くようなお弁当みたいになっちゃったかな。)
そんな事を思いながらも、約束の16時に向けて支度を済ませて行く。
(こないだ、お団子褒められたから、今日もアップにして行こうかな。)
普段、自分に対する周りの評価など気にもしないわたしだが、雨笠さんに"お団子が似合う"と言われた事が嬉しかった為、単純にも再び髪型をお団子に結った。
それから、またお揃いのパーカーを着て行こうかも迷ったが、それはさすがに狙い過ぎている気がして、シンプルな無地のスウェットを着たのだった。
約束の16時が近付くにつれて、ソワソワしてしまう自分。
わたしは何度も時刻を確認しながら、16時5分前には料理を詰めたタッパーを抱えて自宅を出ると、隣の701号室のインターホンを鳴らした。
すると、すぐに扉が開き、中から爽やかな笑顔の雨笠さんが「いらっしゃい。」と出迎えてくれたのだ。
「お邪魔します。」
「どうぞ。」
「今日は、わたしが料理作って来てみました。」
「えっ!マジっすか?!嬉しい!」
「そんな大した料理じゃないですけどね。」
「いやいや、作ってもらえる事自体が嬉しいですよ!ありがとうございます!」
そんな会話を交わしながら、リビングへと移動して行くわたしたち。
雨笠さんも飲み物やおつまみなどを用意してくれており、年を越す準備は万端だ。
わたしたちはソファーに腰を下ろすと、まずどう過ごすかの話をした。
「どうしましょうか?音楽番組とか見ます?」
「わたし、あまり音楽番組見ないので、今の流行りの曲が全然分からなくて···」
「あ、実は俺も···。それなら、いつも通りゲームして、年明ける前くらいになったら、カウントダウンでも見ますか?」
「そうですね!そうしましょうか!」
そう話したわたしたちは、まずはご飯を食べようと、わたしが作って来た料理や雨笠さんが用意してくれていた飲み物などをテーブルに並べた。



