次の日。
わたしは、朝早くから部屋の片付けをしていた。
引っ越しをして来てから、何だかんだ放置して片付かないままの部屋で過ごしていたが、さすがにこのままではいけない。
元々それほど多くなかった荷物は順調に片付いていき、午後1時にもなれば部屋はスッキリとしていた。
「はぁ〜、終わったぁ〜···」
ソファーに寝そべり、疲れから脱力をする。
すると、テーブルの上に置いていたスマホがブブッと振動し、わたしは手を伸ばしてスマホを掴み取った。
そしてスマホの画面を見てみると、"新着1件"と表示されており、そのメッセージの送り主は大知だった。
『お疲れ!椿沙、今日って時間ある?』
大知からのメッセージに(えぇ···、面倒くさい···)と思ってしまうわたし。
わたしは『なんで〜?』とだけ返信したのだが、そのあとに大知から『今、電話できる?』と返信がきたので、仕方なく大知と電話で話す事にした。
『お疲れ〜!』
「お疲れー。」
『あれ?椿沙、元気ない?』
「元気ないんじゃなくて、疲れてるの〜。今、部屋の片付けしてたから。」
『あぁ!やっと片付いたのか!それなら、遊びに行っちゃおうかなぁ〜!』
「やめてー」
『本気で嫌がるじゃん。』
その言葉の向こう側で苦笑いする大知の表情が目に浮かぶ。
わたしは「それで、何の用?」と言うと、寝そべっていたソファーから身体を起こした。
『いやぁ、椿沙に会いたいなぁ〜なんて、思ってさ。』
「んー···」
『疲れてるなら、今日は無理か。』
「うん、ごめん。」
『いや!それなら仕方ないから!じゃあ、年明けまた誘ってもいい?初詣行こうよ!』
「でも大知、実家帰るんじゃないの?」
『明日帰るけど、1日には帰って来るつもりなんだ!』
「そっかぁ、それなら···まぁ。」
わたしがそう答えると、『えっ!マジ?!いいの?!』と大袈裟という程に喜ぶ大知は、まるで欲しい物を買ってもらった時の子どものようだった。
そして大知は『じゃあ、また連絡するな!今日はゆっくり休めよ!』と言うと、電話を切った。
「初詣、かぁ···」
大知との電話を終わらせ、スマホに向かって呟くわたし。
雨笠さんとの約束は楽しみなのに、大知との約束になると心が躍らない。
(何でだろう···、大知の事は別に嫌いなわけじゃないのに···)
わたしはソファーの背に寄りかかると、大きな溜め息を吐いた。



