と思えば、雨笠さんが突然「あっ!」と言って、わたしの服を指差したのだ。
「それ、ユアクロと"エバー·ファンタジー"のコラボパーカーですよね?!」
「あ、気付きました?」
わたしはそう言うと、クルッと背中を見せ、背中に入ったロゴを見せた。
「やっぱり買っちゃいますよね!」
満面の笑みを浮かべる雨笠さんはそう言うと、自分もクルッと回り、わたしに背中を見せて来た。
その瞬間、わたしは雨笠さんの背中を見て驚くと共に笑ってしまったのだ。
「えぇー!嘘ぉ!一緒!」
そう、雨笠さんはわたしと全く同じパーカーを着ていたのだ。
偶然にもこのタイミングでオソロになってしまった事に笑い合ったわたしたちは、照れながらもテンションが上がり、その盛り上がりのまま二人キッチンに並んで料理を始めた。
雨笠さんの手際はよく、料理をし慣れているのは一目瞭然だった。
何なら、面倒くさがりのわたしの方が料理をしていないかもしれない。
年末らしくはないが、わたしたちはわたしたちの食べたい物を作り、それから缶チューハイで乾杯をして、ゲームをする雨笠さんの隣で懐かしさに胸を高鳴らせながら夜を過ごした。
雨笠さんと過ごす時間はあっという間で、気付けば日付が変わりそうになっていた。
「今日は、この辺でやめておきましょうか。」
そう言って、ゲームをセーブする雨笠さん。
わたしはこの時間が終わってしまう寂しさをグッと抑えながら「そうですね。」と言った。
「そういえば、志筑さん。大晦日はご実家に帰るんですか?」
何気無い雨笠さんの質問に、一瞬どう答えようか迷うわたし。
わたしは迷った挙句、「いえ、帰る予定はありません。というか、帰る実家はないので。」と正直に答えた。
「えっ、そうなんですか?」
「色々あって、わたし···両親とは縁を切ってるんです。だから、わたしには帰る実家はないんです。」
「あっ···、すいません。余計な事を訊いてしまって···」
「いえ!気にしないでください!」
わたしが明るくそう言うと、雨笠さんは「じゃあ、志筑さんが話してくれたので、俺も話しますね。」と言い、改まるかのように手を膝の上に置いた。



