そして、帰宅ラッシュの時間帯の街並みを歩く雨笠さんとわたしは、スーパーに寄って買い物をしてから帰宅する事にした。
会社とマンションの中間地点には丁度小規模のスーパーがあり、わたしたちはそこへと立ち寄った。
「何買いましょうかね〜。」
年末という事もあり、鍋やすき焼きなどの大人数で食べるような食材ばかりが並ぶ中、わたしは店内を見回した。
「俺、何か作りますよ。」
「えっ!雨笠さん、料理まで出来るんですか?!」
「そんな大した物は作れませんけど、簡単なものなら。」
「雨笠さんって、何でも出来るんですね。」
「いやいや、何でもだなんて事ないですよ。」
そんな会話をしながらスーパーの中を回り、カゴに食材や飲み物を入れて行く。
すると突然、雨笠さんが「あのぉ、一つ聞きたい事があるんですけど、いいですか?」と訊いてきた。
「はい、何でしょう?」
「あのぉ、さっきの···邑瀬さん、でしたっけ。」
「あぁ、はい。」
「邑瀬さんとは、お付き合い···されてるわけでは···?」
「あっ!違います違います!してません!ただの同期です!」
わたしが大袈裟という程に否定すると、雨笠さんはホッとした表情で「良かったぁ。」と呟いた。
「もし、お付き合いしてたら、俺めちゃくちゃ失礼な事したなって思って······」
「ただ仲の良い同期ってだけです。」
「でも、邑瀬さんは違うんじゃないですか?」
「えっ?」
「邑瀬さんは···、志筑さんに好意があると思いますよ。」
雨笠さんの言葉にどう返したら良いのか分からず、黙り込んでしまうわたし。
しかし、この雰囲気が気まずくなるのを避ける為、わたしは恐る恐る「そう見えますか?」と雨笠さんに訊いてみた。
「はい。誰がどう見ても、そう見えますよ。」
わたしの問いに対しての雨笠さんの答えにわたしは苦笑する。
すると雨笠さんは「でも、邑瀬さんの気持ちがどうあれ、お付き合いはしていないと確認できましたから。俺も遠慮しないでいかせていただきます。」と言い、ガッツポーズを見せた。
(それは···どういう意味ですか?)
わたしは照れくさそうに笑う雨笠さんを見上げながら、そんな事を思い、自分が自惚れないように必死に気持ちを制御しようとしていた。



