眠れぬ夜を抱きしめて


その後から、大知はいつものようにわたしに接してくれた。
他愛も無い話をしたり、くだらない話で笑わせてくれたり、いつも通りの大知だった。

大知の真っ直ぐな気持ちを知った上で大知とどう接していいのか戸惑ったが、わたしもいつも通りに接するのが一番なのだと気付いた。

それからわたしたちは、21時頃にはお店を出た。

「ご馳走様でした!」
「いやぁ、クリスマスを椿沙と過ごさせてもらったから、これくらい当然だよ!」

大知はわたしが化粧室へ行っている間に会計を済ませており、何とも男らしいところを見せ付けてくれたのだ。

そして大知は、わたしを家まで送ってくれると言い、引っ越したばかりのマンション前までわたしを送ってくれた。

「ここかぁ、新しいマンション。デッカイなぁ!」
「10階建てだからね。」
「ここに雨笠さんも住んでるんだもんなぁ···」

大知が呟くようにそう言うので、わたしが「えっ?何か言った?」と訊くと、大知は「いや、別に!何でもない!」と微笑みを見せた。

「それじゃ!今日はありがとな!」
「こちらこそ。送ってくれてありがとね。」
「んじゃ!また来週な!おやすみ!」
「うん、おやすみ〜。」

そう言い合って手を振って大知と別れたわたしは、マンションへと入って行った。

(今日は結構飲んじゃったなぁ。)

そんな事を考えながら、ボーッとエレベーターが7階に到着するのを待つ。
そして、ポンッという音と共に停止したエレベーターは、ゆっくりと扉が開いた。

エレベーターから降りたわたしは、真正面にある自宅の702号室前までやって来る。

すると、ふと隣の701号室が気になってしまった。

(雨笠さん、まだ帰って来てないかな。高山さんに誘われてたっぽいし···、きっとデートで帰り遅いよね。)

そう考えながら、自宅の鍵を解錠し、中へと入る。
一日留守にしていた部屋の中は冷え切っており、わたしはすかさずストーブの電源を入れた。