眠れぬ夜を抱きしめて


「凄い人だらけだね。」
「さすがクリスマスなだけあるよなぁ〜!」
「こんなんじゃ、どこのお店もいっぱいで入れないんじゃない?」

わたしがそう言うと、大知は得意げにわたしを見下ろし「実は、店予約入れてるんだ!」と自信満々に言った。

「えっ!予約してあるの?!」
「まぁな!さすが俺だろ?」
「ほぅ。モテる男は違うねぇ〜。」
「はあ?!ちげーし!俺は誰にでも同じ事してるわけじゃないの!」

そんな会話をしながらも、わたしたちは大知が予約してくれていた小洒落た居酒屋へと入った。
賑わいだ居酒屋とは違った落ち着いた雰囲気のある個室に通されたわたしたちは、テーブルを挟んで対面に座ると、コートを脱いで壁掛けハンガーにコートを掛けた。

「さて、何飲む〜?」

そう言いながらメニュー表を開く大知。
わたしはメニュー表を覗きながら、「わたしは、カルピスサワーかなぁ〜。」と答えた。

「やっぱり椿沙といえばカルピスサワーだよな!」

そう言って、スタッフを呼ぶベルを鳴らした大知は、店員が来ると率先してドリンクやオススメメニューを注文し、紳士的な対応をしてくれた。

「そういえば、部屋片付いたのか?」

メニュー表を元あった場所に戻しながら大知が言う。

わたしは苦笑いを浮かべながら「実は、まだ全然。」と答えた。

「昨日、引っ越しの片付けで忙しいからって、俺の誘い断ったくせにー。」
「いやぁ、片付けようと思ってたんだけど、いつの間にか寝ちゃっててさぁ。」

そう言い訳をしながら、ふと昨日の出来事を思い出す。

(雨笠さんの家に行って、そのまま泊まっちゃったなんて、とてもじゃないけど大知には言えない······)