眠れぬ夜を抱きしめて


「あ、じゃあ、巨峰の方で。」

わたしがそう言うと、雨笠さんは「こっちですね!」と言って、巨峰味の缶チューハイを見せ、自分の分の缶チューハイも持って、こちらへと来た。

「どうぞ。」
「ありがとうございます。」

雨笠さんから缶チューハイを受け取り、雨笠さんがわたしの隣に腰を下ろすのを待ってから、プルタブを引いて乾杯をするわたしたち。

雨笠さんは缶チューハイを一口飲むと、それをテーブルへと置き「うち何も無くて、すいません。」と苦笑いを浮かべた。

「いえ、お構いなく。」
「あっ!早速ですけど、『エバー·ファンタジーIII』見ますか?」

そう言って立ち上がる雨笠さんは、テレビボードの方へ歩いて行くと、割と大きめなテレビの横に置いてある最新型のゲーム機の電源を入れた。

「わぁ!PC5買ったんですね!」
「はい、奮発して買っちゃいました。」
「やっぱり映像綺麗ですか?」
「めちゃくちゃ綺麗ですよ!」

そんな会話をしながら雨笠さんはテレビをつけ、コントローラーを持って、わたしの隣へ戻って来た。

「せっかくだから、やりませんか?」

そう言って、雨笠さんはわたしにコントローラーを差し出してくれたが、わたしは「いえ、わたしは雨笠さんがプレイしてるところを見てたいです。」と答えた。

すると、テレビ画面には昔のままの『エバー·ファンタジーIII』のオープニングが流れ始め、わたしはあまりの懐かしさに「わぁ〜!懐かしい〜!」と興奮してしまった。

「まだ最近始めたばかりなので、今まだ爆発ミッションのところなんですよ。」
「あぁ!サソリみたいなボス出て来るところですよね?」

そんな話をしながら、次第に打ち解けていったわたしたちは、自然と昔から知る友人のように笑いながら会話を弾ませていた。
こんなにもワクワクした気持ちで笑ったのは久しぶりかもしれない。

わたしたちは深夜である事も忘れ、時間が流れるままに二人で過ごしていた。