翌朝。
学校に行くと、クラスは涼くんの転校でもちきりだった。
「会社が倒産したらしいよ」
「彼女にあんな冷たくするからバチが当たったんだよ、きっと」」
……違う。
涼くんは、冷たくなんてなかった……。
私達しか知らない真実。
私は俯いて、爪が食い込むくらいに拳を握りしめた。その時――。
「――おい。朝から他人のことに首突っ込んでんじゃねーよ」
教室のドアが勢いよく開き、恭弥くんが入ってきた。
彼は真っ直ぐに私の席まで来ると、呆然とする私の肩を、これ見よがしにガシッと引き寄せた。
「こいつの前で、あいつの悪口言うんじゃねぇ。咲那に悲しい思いさせる奴は俺が許さねーからな」
静まり返る教室。
恭弥くんはクラス全員を射抜くような鋭い視線で黙らせると、私に向かってだけ、いたずらっぽくウインクをした。
「ほら、行くぞ。朝の予鈴鳴る前に、屋上で日向ぼっこしよーぜ」
強引に手を引かれて歩き出す。
クラスメイトたちの視線なんて、もうどうでもよかった。
私の指に絡まる彼の指の熱さだけが、誇らしくて、愛おしかった。

