「そのストラップも、いらない」
「え……」
「学校にそんなもの持ってくるな……目障りなんだ。僕の視界に入らないで、早く教室に帰ってくれる?」
目障り……?
その瞬間、頭の中が真っ白になった。
心臓を直接、冷たい氷で撫でられたみたい。
「……っ」
指先から血の気が引いて感覚がなくなり、抱えていたお弁当が滑り落ちた。
──ボトッ。
床に跳ね返った鈍い音。
せっかく作った卵焼きが、中で崩れていく感触が手に伝わってきた。
どうして、そんな酷いこと言うの……?
1周年のお祝いをしようねって、あんなに楽しみにしてたのに……。
溢れそうになる涙を必死に堪えて、唇を強く噛みしめる。
だけど涼くんは、私を見ることもなく、また無機質な参考書に目を落とした。
ふと、周りを見回すと、教室中のみんなの視線が針のように私に刺さる。
「かわいそうに……」
「いくらなんでも、ひどすぎじゃない?」
あちこちから聞こえるそんなヒソヒソ声から逃げるように、私は教室を飛び出した。

