「……君が好きだから、道連れにしたくなかった。僕と一緒にいたら、咲那の未来まで真っ暗になる気がして……それなら、僕を最低な奴だと思って忘れてくれた方が、君は幸せになれるって、本気で思ってたんだ」
涼くんの目から、隠していた涙が溢れ出した。
それは私が見た、最初で最後の彼の弱さだった。
そんな……そんなこと……。
「バカだよ、涼くん……本当にバカ。私、どんなに辛くても、涼くんと一緒に悩みたかった……でも、ありがとう。そんなに私のこと、想ってくれてたんだね」
私は涼くんの頭をそっと抱きしめた。
それは、元恋人としてじゃなく、ずっと言えなかった「さよなら」と「感謝」を伝えるための儀式みたいなものだった。
涼くんの冷たかった愛の真実を、私は今、やっと受け取ることができた気がした。

