「……バカだな、お前」
さっきまで怒り狂っていた恭弥くんが、ふっと力を抜いて、呆れたようにため息をついた。
そして、地べたに座り込んだ涼くんの頭を、乱暴にガシガシと掻き回す。
「そんなに惨めなら、俺がいくらでも助けてやるよ。俺の親父に言えば、お前の家の整理くらい、弁護士紹介して手伝わせる……だから、独りで逃げようとすんじゃねぇ」
「……朝日……」
「勘違いすんなよ。お前を助けるのは、咲那をこれ以上泣かせたくないからだ」
恭弥くんはそう言って、私の方を向き、少しだけ寂しそうに、でも最高にかっこよく笑った。
「……さぁ、咲那。全部吐き出させろ……今なら、こいつの仮面、完全に割れてるから」
職員室の静寂の中に、涼くんの荒い呼吸だけが響く。
恭弥くんに背中を押され、私は一歩、涼くんの前へ踏み出した。
「涼くん……全部、話して。嘘も、隠し事もなしで」
涼くんは、私の靴先を見つめたまま、ぽつりぽつりと話し始めた。
父親の会社の倒産。家が競売にかけられること。親戚を頼って海外へ行くこと。
そして……。

