「見ろよ、この顔。お前が勝手に守ったつもりでいる間に、咲那がどれだけボロボロになったと思ってんだ。お前の愛ってのは、相手を地獄に突き落とすことなのかよ!」
「…………」
涼くんが、息を呑んで私を見た。
涙でぐちゃぐちゃになった私の顔を。
隠しきれずに震えている、私の指先を。
「涼くん……」
私は、バッグの中から彼のスマホを取り出し、震える手で差し出した。
「……全部、見ちゃった……差し押さえとか、海外とか……涼くんが私を嫌いになろうとした理由も」
「…………っ」
「……私、そんなに頼りなかった? 一緒に傷つくことも許されないくらい、私って、涼くんにとって他人だったの……?」
ポタポタと、床に涙が落ちる。
涼くんの手から力が抜け、その場に崩れるように膝をついた。
「……違う。そんなわけない……」
絞り出すような、掠れた声。
「咲那にだけは、惨めな自分を見せたくなかった……家も、親も、全部失うのに……君の隣にいる資格なんて、僕にはもう、どこにもないと思ったんだ……!」
それは、彼がずっと心の奥底に閉じ込めていた、本当の悲鳴だった。
冷たい仮面の裏側で、彼は誰よりも怯えて、誰よりも、私を愛してくれていた。

