「……っ、な、なに思い出してんの、私……っ」
ガバッと起き上がって、火照った両頬を冷たい手で押さえる。
鏡を見るまでもなく、自分の顔が真っ赤なのがわかった。
恭弥くんは、中学からの腐れ縁で。
誰にでも甘い言葉を吐く、チャラ男で。
……私なんて、ただの『友達』のはずなのに。
『俺は、ずっと前からお前だけなんだよ』
嘘だ、って言いたいのに。
あの真剣な目は、どうしても嘘には見えなかった。
窓の外では、夜の風がカーテンを静かに揺らしている。
涼くんのことで泣きたいはずなのに、恭弥くんの言葉がそれを邪魔する。
結局、その夜は一睡もできなくて。
「……お前だけなんて、反則だよ……」
窓から差し込み始めた薄明かりの中で、私はもう一度、深く布団に潜り込んだ。

