『白夜の総長をお前に任せる』
その時の雰囲気も言葉の重さも昨日の事のように全て覚えている。
前総長が珍しく見せた真面目な顔も。
ちなみにアレでも副総長である依織は当時その場に居合わせている。
なんせ総長の座を賭けたタイマンで依織は私に負けているのだ。
当時から依織は私に全く、1度も勝てていない。
「おい、雨音。着いたって」
「え?あぁ」
「何か悩み事ですか?」
「ん?そんなんじゃないよ」
「お前に悩み事なんかねぇだろ」
「まぁ無いに等しいけど、1つ言えばあんたが昔から喧嘩が弱いって事が悩みかな」
「はぁ!?」
「もっと副総長として自覚持ちなよ?下に示しつかないし」
はぁ、とため息をつきながらぬるくなったカフェラテが少しだけ残ったカップを持って車から降りると車内から依織の怒鳴り声が聞こえた。
「待てよ!!てめぇ喧嘩売ってんのか!!」
どうやら彼の闘争心というか、自尊心を傷付けてしまったらしい。
…あーあ、そんなにドアを勢いよく閉めたら壊れちゃうって。
というか、この場に居る全員が突然異様に声を荒らげた依織に驚いてこちらを見ているし何事かと固まっている。


