「あ?買って来てやっただけ有難く思えよ」
「ちゃっかり自分の分まで買ってんじゃん」
「それは俺の自由だろうが」
依織は助手席に乗って暖房の風を強めた。
買って来てくれたカップには緑色のロゴが入っていて思わず鼻で笑いそうになる。
…別に、コンビニので良かったのに。
それは言わないでおこう。
言ったら多分めちゃくちゃ面倒臭い事になるから本人の言う通り、有難く頂戴する。
性格はすこぶる悪いが運転手にも珈琲を買って来ているあたり、根は良い奴なのである。
「さ、帰ろ。慎が待ってるから」
「お前がわがまま言わなきゃもうとっくに着いてんだよ」
「うるさいなぁ」
「チッ、いつか絶対殺してやる」
「おーおー。夢はでっかく持った方が良いもんな!」
「んだとコラ、」
「はいはい。依織さん、出発するのでシートベルトしてくださいねー。サツに捕まるとめんどいんで」
根は良い奴だと思うがそれを本人に伝える気は全くないし、言いたくもない。
…ムカつくから。


