高い所は苦手だ。
何かの拍子に落ちたら確実に死んでしまう。
急にゆらゆらと揺れ出した視界に驚いて、つい背後にあるフェンスに掴まった。
かじかんだ手が軋むのを感じる。
そっと、頬を触ると濡れていた。
…私、泣いてる。
目を閉じて、さっきからザワザワとざわつく心を沈ませようとした。
───────『雨音』
優しい声がした。
愛おしい声がした。
聞いた事がある私の、大好きな声。
「……なぁに、?」
寒いせいか掠れた声が出た。
もちろん、今この場には私しか居ないから返ってくる言葉なんて無いんだけど。
でも、それでも返事をしない訳にはいかなかった。


