家の前に立つ 私の足は そこから 前へと 進めなかった 彼のお母さんは そっと 私の背中に 手をのばした 茶の間へと 案内された 彼の姿はなかった チェックの ピンクのマフラーを はずしながら 周りを見渡した 彼のお母さんが 出してくれた 座布団の上に 座り マフラーを 横に置いた時だった 『来てくれ ありがとう』 私の後ろから 彼の声が 聞こえた