突然のラブストーリーの中で誰よりも貴方だけを想います


雨の中を歩いてる
いつもの制服に身を包み傘には月のキーホルダーがついている
 
雨の日には良いことがきっとあるはず
そんな事を思いながら雫が一滴僕の心に染みる
トボトボ歩いていると目の前に公園で雨宿りしている少女を見つけた
確か午後からずっと雨が降る予報だったはず
その足音を立てないようにゆっくり慎重に少女に近づく
 
僕はどう声を掛けていいか分からず口をモグモグするだけだった
こんな情けない自分が時々大嫌いになる
そんな僕の様子に見かねたのか少女のほうから話しかけてくる
 
「何か用ですか?」
先に口を開いたのは少女の方だった。
とても弱々しい声で、凍えているせいなのか声が震えているようだった
もしかしたら僕を警戒してるのかもしれない
その警戒を解く為に慣れない笑顔を見せる

「あの。傘忘れたの?」
「はい…」
彼女の髪が顔を隠していて表情がよく見えない
「なら貸すよ…傘」
申し訳なさそうに断る彼女をほっとけなくて彼女に傘を託す
逃げるように立ち去る
雨に濡れる事はどうでも良かった
彼女が元気で幸せならそれでいい
なぜか今はそう思えた
 
その時突然目の前が崖になって海に叩き落とされる。暗く全てを飲み込む渦に引きずり込まれる
息ができない中で必死に生きる術を探す
壮大な泡の中で僕に託されたのは生きる意味といていい理由だった


 
その瞬間目覚まし時計のアラームと同時に現実世界に戻される
体は汗びっしょりで涙が流れている
悪夢を見た日が一番目覚めが悪い
洗面所で冷たい水を顔にかける
「よく分からない夢をみたな…」
顔色は少し良くなった

 
また思い出してしまう。強くありたい。その為に悲しい過去を忘れ去りたいのに…
夏の儚さのように永遠に離れない過去
制服を身に纏い、いつもの今日に突然のラブストーリーが訪れた