拳よりも、強いもの〜俺たちはいつも『曇天』の中に光を掴んだ

我捨楽という物語に、エールを

彼女は、
キーボードに指を置く。

タイトルを打ち込む。



『我を捨てて、楽になった日』



これは、
恋の物語じゃない。

誰かが勝つ話でもない。



前に出た少年と、
後ろに立った少年。

ぶつかり合って、
並び直して、
背中を預けた話。



彼女は、
何度も考えた。

自分は、
この物語に必要なのか。

答えは、
いつも同じだった。



必要じゃない。

でも、
書きたい。



殴り合いの強さじゃない。

我を捨てる勇気。
引く判断。
守る選択。



それを、
彼女は知らなかった。

だからこそ、
のめり込んだ。



ラストに、
一行だけ添える。



二番が前に、
三番が後ろに。

それは、
世界で一番、
静かで強い並びだった。



画面を閉じて、
彼女は微笑む。



悠矢と、
愁也。

もう少年じゃない二人へ。
大人になった二人へ。



これは、
あなたたちの友情に送る、
小さなエール。