おやすみなさい

相川 青空(あいかわ そら)

 やがて気付く。少女の目の前には、広い海があったのだ。きっと幸せになれると、微笑んでいた。
 「あなたは本当に、幸せにしてくれるのかしら?」
 そう問いながら、海に静かに染まっていった。


 それは美しい朝焼けと果てしなく青いこの世界にもたらされた運命(きせき)だった。


 次に目を覚ました時には、その場に少女のほかに少年がいた。少女は不思議に思いながら聞くのだった。
 「あなたはだれ?」
 少年は笑みと美しい宝石をその場に残し、去っていった。ここがどこだかわからないうえ、一人になってしまった少女はどうしようかと途方に暮れた。そして、どうしようもなく『孤独』だと思った。思ってから、それは以前から変わらないことだと思い出し、笑った。それは寂しさと諦めを混ぜたような笑みだった。少女は、少女以外に、この場所には何もないと思った。
 少女は当てもなく波打ち際を歩いた。そこは、海のそばだというのに暖かい、不思議でやさしい世界だった。



川留 永久(かわとめ とわ)

 彼は先ほど見つけた不思議な少女のことを考えていた。
 『奇跡の海』に漂っていたので何事かと思い助けてみたのだが、それにしても。もしや神の使いかとまで疑ったほどの容姿をしていたが、おそらく違うだろう。それはこの世のものだとは思えない美しさだった。その容姿に合わせて、この『奇跡の海』を連想させるような透き通る声。あの少女は何者なのだろう。
 酷く正体が気になった彼だったが、ひっそりとまた少女に会えることを願い、自分の宝を渡したのだった。



漢字(かんじ)