カレーの香りって、どうしてこう……人の心をほどいてしまうんだろう。
湯気がふわりと立ち上がって、スパイスのあたたかさが部屋を満たしていく。
リビングの明かりはやわらかく、窓の外は夜の深い青。
そしてその中央で――
「美味しい〜〜!!」
悠真が、復活していた。
さっきまでソファで“人生のエンディング”みたいな顔をしていたのに、今は違う。
両手でスプーンを握りしめ、目をきらっきらさせて叫ぶ。
「美羽ちゃんの料理、世界で一番美味しいぃぃ!!」
「うわぁぁぁ生き返るぅぅ!これが愛妻カレーってやつぅぅぅ!!??」
「ちょっと悠真くん、声でかいよ?!」
美羽は苦笑いしながら、慌てて指を口元に当てた。
「ご近所さんに聞こえちゃうよ、悠真くん」
「聞かせたい!!」
悠真は本気の顔で言い切った。
「美羽ちゃんがどれだけ天才か!!世界中に!!」
その横で、椿がスプーンを置き、盛大に舌打ちした。
「……いちいちうるせぇよ」
「なんだよ椿ぃぃぃい!!」
悠真の復活は、胃袋だけではなく、闘争本能まで蘇らせたらしい。
悠真は立ち上がり、椿の背後に回り込み――
「こんな、こんな!!美味しい美羽ちゃんの愛妻料理が!!」
「毎日食べられるんだぞぉぉ!?羨ましいじゃないかぁぁあ!!このこのこのぉぉお!!」
「お、おい!やめろっ、悠真!!」
悠真は椿を羽交い締めにした。
椿は珍しく焦って、腕をばたつかせる。
ただでさえ体格差があるのに、悠真は警察官になってから妙に体が仕上がっている。
「ちょ、椿くん!落ち着いて!悠真くんも!ご飯こぼすって!!」
美羽は慌てて止めに入ろうとするが、
その光景があまりにもコントみたいで――思わず、あははっと笑ってしまった。
「……あははははっ」
その笑い声に、悠真が「ん?」と振り返る。
「美羽ちゃん笑った!?え、何今の可愛い!!」
「もう!天使じゃん!!」
「天使じゃない!!座りなさい!!」
美羽がぴしゃりと言うと、悠真は一瞬で正座に戻った。
犬より素直だ。
秋人がその様子を見て、口元に手を当ててくすりと笑う。
「椿、ほんとわかってないよね」
「こういうのを、幸せって言うんだよ?」
椿はじとっと秋人を見る。
「……お前、なんで上からなんだよ」
「だって椿、すぐ拗ねるから~」
「拗ねてねぇ」
「拗ねてる」
二人の会話は相変わらず、静かな火花が散っていた。
そこへ莉子がにやにやしながら顔を寄せる。
「ねえねえ美羽!」
「悠真くんにお弁当、毎日作ってあげたら??」
「は?」
椿の反応が、速すぎた。
椿は椅子を引く勢いで立ち上がり、眉間にしわを寄せる。
「そんなことさせるわけねぇだろ!」
「なんで悠真の弁当を美羽が作る話になってんだよ!!」
「え、怖っ~い!!」
莉子は、きゃっきゃとはしゃいでいる。
そして遼が笑いをこらえながら宥める。
「まぁまぁ、椿くん。そんだけ美羽ちゃんのご飯がおいしいんだよ」
「当たり前だ」
椿はふん、と胸を張る。
そして言い放つ。
「俺の奥さんなんだからな!!俺のもんだ!!」
「……っ!!?」
美羽の顔が、これでもかというくらい真っ赤になった。
「ちょっと!椿くん!?みんなの前で何言って――!!」
「きゃーー!!」
莉子が両手で口を押さえ、目を輝かせる。
「ラブラブじゃーん!!」
遼も肩を揺らして笑っていた。
「いや、もう夫婦だからね?」
「今さら照れるの可愛いね、美羽ちゃん」
「遼くんまで煽らないでぇぇ!!」
湯気がふわりと立ち上がって、スパイスのあたたかさが部屋を満たしていく。
リビングの明かりはやわらかく、窓の外は夜の深い青。
そしてその中央で――
「美味しい〜〜!!」
悠真が、復活していた。
さっきまでソファで“人生のエンディング”みたいな顔をしていたのに、今は違う。
両手でスプーンを握りしめ、目をきらっきらさせて叫ぶ。
「美羽ちゃんの料理、世界で一番美味しいぃぃ!!」
「うわぁぁぁ生き返るぅぅ!これが愛妻カレーってやつぅぅぅ!!??」
「ちょっと悠真くん、声でかいよ?!」
美羽は苦笑いしながら、慌てて指を口元に当てた。
「ご近所さんに聞こえちゃうよ、悠真くん」
「聞かせたい!!」
悠真は本気の顔で言い切った。
「美羽ちゃんがどれだけ天才か!!世界中に!!」
その横で、椿がスプーンを置き、盛大に舌打ちした。
「……いちいちうるせぇよ」
「なんだよ椿ぃぃぃい!!」
悠真の復活は、胃袋だけではなく、闘争本能まで蘇らせたらしい。
悠真は立ち上がり、椿の背後に回り込み――
「こんな、こんな!!美味しい美羽ちゃんの愛妻料理が!!」
「毎日食べられるんだぞぉぉ!?羨ましいじゃないかぁぁあ!!このこのこのぉぉお!!」
「お、おい!やめろっ、悠真!!」
悠真は椿を羽交い締めにした。
椿は珍しく焦って、腕をばたつかせる。
ただでさえ体格差があるのに、悠真は警察官になってから妙に体が仕上がっている。
「ちょ、椿くん!落ち着いて!悠真くんも!ご飯こぼすって!!」
美羽は慌てて止めに入ろうとするが、
その光景があまりにもコントみたいで――思わず、あははっと笑ってしまった。
「……あははははっ」
その笑い声に、悠真が「ん?」と振り返る。
「美羽ちゃん笑った!?え、何今の可愛い!!」
「もう!天使じゃん!!」
「天使じゃない!!座りなさい!!」
美羽がぴしゃりと言うと、悠真は一瞬で正座に戻った。
犬より素直だ。
秋人がその様子を見て、口元に手を当ててくすりと笑う。
「椿、ほんとわかってないよね」
「こういうのを、幸せって言うんだよ?」
椿はじとっと秋人を見る。
「……お前、なんで上からなんだよ」
「だって椿、すぐ拗ねるから~」
「拗ねてねぇ」
「拗ねてる」
二人の会話は相変わらず、静かな火花が散っていた。
そこへ莉子がにやにやしながら顔を寄せる。
「ねえねえ美羽!」
「悠真くんにお弁当、毎日作ってあげたら??」
「は?」
椿の反応が、速すぎた。
椿は椅子を引く勢いで立ち上がり、眉間にしわを寄せる。
「そんなことさせるわけねぇだろ!」
「なんで悠真の弁当を美羽が作る話になってんだよ!!」
「え、怖っ~い!!」
莉子は、きゃっきゃとはしゃいでいる。
そして遼が笑いをこらえながら宥める。
「まぁまぁ、椿くん。そんだけ美羽ちゃんのご飯がおいしいんだよ」
「当たり前だ」
椿はふん、と胸を張る。
そして言い放つ。
「俺の奥さんなんだからな!!俺のもんだ!!」
「……っ!!?」
美羽の顔が、これでもかというくらい真っ赤になった。
「ちょっと!椿くん!?みんなの前で何言って――!!」
「きゃーー!!」
莉子が両手で口を押さえ、目を輝かせる。
「ラブラブじゃーん!!」
遼も肩を揺らして笑っていた。
「いや、もう夫婦だからね?」
「今さら照れるの可愛いね、美羽ちゃん」
「遼くんまで煽らないでぇぇ!!」



