危険すぎる恋に、落ちてしまいました。番外編2

一日が終わりかけた夕方。
職員室でデスクを片づけながら、美羽はスマホを手に取った。

(悠真くん、大丈夫かな……)

とりあえず椿くんに連絡しなきゃ、と美羽はスマホの画面をタップする。

『今日、悠真くんが駅で倒れそうだったから、うちでごはん食べさせるね!』

送信。

数秒。

すぐに電話が鳴った。

椿からだ。

美羽は「早っ」と思いながら出る。

「もしもし〜?」

『……お前なぁ』

第一声が、すでに不機嫌だった。

「え、なに?どうしたの?」

『どうしたのじゃねぇよ。俺たちの家だぞ?』

『悠真一人はダメだろ。もうちょっと……誰か誘え。莉子でもいいから』

「ええ?莉子?」

美羽はけろっとした声で返す。

「まぁ、いいけど。なんでそんな怒ってるの椿くん?」

電話の向こうで、椿が深いため息をつく気配がした。

『……もういい』

『とりあえず何人か誘っとけ』

「え、ちょ……椿くん?なんでぇ?」

ぶちっ。

通話が切れた。

美羽はスマホを見下ろしながら、ぽかん。

「……なに怒ってんのよ、もう」

ふう、と息を吐いた。
その瞬間――背後から、声。

「何々〜?美羽ちゃん家でパーティーするの?」

振り返ると、白衣のままの秋人が、にこやかに立っていた。

保健医の先生――あの頃のままの爽やかな笑顔。

ただ、大人になった分だけ、少し落ち着いた雰囲気が増していた。

「秋人くん!びっくりした!」

「いや、パーティーじゃなくて、悠真くんが空腹で倒れそうで……」

秋人はくすっと笑う。

「そっか。じゃあ、俺も行っていい?色々手伝うよ!」

「えっ、手伝ってくれるの?」

美羽の顔がぱあっと明るくなる。

「ありがとう秋人くん!助かる〜!」

「じゃあ、買い出し行こっか」

秋人は軽くウインクをして、キーをくるりと回した。

美羽は心の中で小さく叫んだ。


(あ……椿くん、これ知ったら絶対怒るやつだ)