危険すぎる恋に、落ちてしまいました。番外編2

騒がしくて、うるさくて、あたたかい。
この空気は変わらない。
椿がふっと息を吐いて言った。

「……お前ら、おせーよ」

その声は文句みたいなのに、
笑っているみたいに優しかった。

美羽は大きく手を振って、

「みんなぁ~!!待ってたよ!!」
と叫んだ。

陸が、きょろきょろと全員を見上げて、少し戸惑う。
「……えっと……いっぱい……」

美羽が陸の肩を抱いて言う。

「陸、紹介するね。みんなね――」

椿が続ける。

「うるさい家族みたいなもんだ」

「パパひどい」

陸がぷくっと頬を膨らませると、全員がどっと笑った。

桜はまだ咲いていない。

でも、若葉の匂いと、春の光だけで十分だった。
美羽は空を見上げて、胸の中でそっと呟く。

(あの頃、私が願った幸せの形は――)

目の前にある。
椿の手。
陸の笑顔。
黒薔薇のみんなの声。

少しうるさくて、騒がしくて、でもどこまでも眩しい“青春”の続き。

風がふわりと吹き抜けて、四つ葉のクローバーの緑が、太陽を受けて光った。

その光は、まるで未来そのものみたいに――
まっすぐで、あたたかかった。











Fin.