危険すぎる恋に、落ちてしまいました。番外編2

陸は、ちいさな手で四つ葉のクローバーを差し出した。

「パパとママに、プレゼント!」

美羽は目を瞬かせた。

「……プレゼント?」
「うん!」

陸はにこにこして、まっすぐ言う。

「ぼくはね、パパとママに会いたくて生まれてきたんだよ!」

「……っ」

美羽の胸がきゅっと縮む。
涙腺が、秒で壊れるやつだ。
陸は続ける。

「だからね、ぼくを産んでくれてありがとう!ママ!」

そして椿の方を向く。

「パパも、ぼくのパパになってくれてありがとう!!」

言い終わった瞬間、陸はふたりにぎゅっと抱きついた。
美羽はあっという間に泣いた。

「……りくぅ……」

椿は目を見開いたまま固まって――
それから、わずかに喉を鳴らした。

「……お前……」

ぎこちなく陸の背中に手を置き、そっと抱き返す。
不器用だけど、確かに。
誰より優しい腕で。
美羽は涙を拭きながら笑った。

(幸せって、こういうことなんだ)

緑に覆われた公園に、春のそよ風がゆっくり吹いた。

四つ葉のクローバーが、光の粒を含んだみたいにきらめく。
そのとき。


遠くの方から、聞き慣れた声がいくつも聞こえてきた。

「美羽ちゃーん!!お待たせーい!!」
元気すぎる声、第一号。
「美羽~っ!!」
次は、少し楽しそうな声。
「美羽ちゃん!きたよ」
落ち着いた声も混ざる。
「おーい椿~、美羽ちゃん」
だるそうなのに優しい声。
「美羽さん!会いに来ました!」
やけに真面目で熱い声。
「北条夫妻、久しぶりだな」
理屈っぽくも安心する声。

そして――
「お兄ちゃーん!!」

最後は、突き抜けるように明るい声。

陸がぱぁっと顔を上げる。

「……だれぇ!?」

美羽が笑って手を振った。

「ママとパパのお友だちだよ!陸」