危険すぎる恋に、落ちてしまいました。番外編2

のそのそと歩いてきたのは、スーツでも白衣でもない、ラフな格好の男。

――北条椿。

あれからさらに背が伸びたのか、肩幅も広くなり、雰囲気が大人の男になっている。
ただ、目つきと無愛想さだけは高校時代そのままだ。

椿は陸の手の中を覗き込み、

「……クローバーか」

と短く言った後、ふっと笑った。

「すげぇじゃん。陸」

そう言って、陸の頭をわしゃわしゃと撫で回す。

「わっ!やめてよパパ!」

陸はくすぐったそうに笑って、
「髪ぐちゃぐちゃになるー!」

椿は悪い顔をして、
「男はぐちゃぐちゃでちょうどいい」

「なにそれぇ~!」

陸の笑い声が、公園の空気を柔らかく揺らした。
椿はそのまま、陸の笑顔を見つめる。
そして、ぽつり。

「……ほんと、笑った顔は美羽にそっくりだな」

美羽は「ふふ」と肩をすくめた。

「そうかな?目元は椿くんにそっくりじゃない?」
「……」

椿は小さく目を細め、視線を逸らした。

「うるせぇ」

美羽はその横顔を見て、心の中で言う。

(もう。結局、照れ屋は治ってないんだから)

すると、陸がぷくっと頬を膨らませた。

「ああ~!!」

「なに?」

「パパとママ、またイチャイチャしてるぅ~!!」

椿が眉を上げる。

「してねぇ」

陸は負けない。

「してるもん!!」

そして両腕を大きく広げ、
「ぼくも混ぜて~!!」

と、ふたりの間にぎゅいっと割り込んできた。
美羽は笑って陸を抱きしめる。

「かわいい~、陸」

陸は満足そうにえへへと笑い、椿をじっと見上げる。

「パパも!」

椿は面倒くさそうにため息をついて、
「……ほらよ」

と片腕で陸を抱えた。

陸は勝ち誇った顔。

「ふふん!」

美羽はその様子を見て、くすくす笑う。

「ほら、妬きもち妬きなところ、椿くんにそっくり」

椿が即座に返す。

「お前に似たんだよ」

「えー?!」

「えーじゃねぇ」

陸が首をかしげて言う。

「どっちでもいいよ!ぼく、パパとママ大好きだから!」

その言葉に、美羽と椿の動きが一瞬止まる。