危険すぎる恋に、落ちてしまいました。番外編2

あれから4年後ー。



春の風が、ゆっくりと公園の芝を撫でていた。
陽だまりの光は柔らかく、木々の若葉がきらきらと透ける。

空の青が眩しくて――それだけで、胸の奥が少しだけ軽くなるような午後だった。

その広い公園の片隅。

ひとりの小さな男の子が、地面にぺたんとしゃがみ込んでいた。

「……ない……ない……」

ちいさな指先でクローバーの葉を一枚ずつめくりながら、男の子は真剣な顔をしている。

まるで宝探しみたいに、視線は一点に集中し、眉まできゅっと寄っていた。

「陸~? 置いてくよ~?」

少し離れた場所から、明るい声。

「まって! いま、いま見つかりそうだから!」

男の子――陸(リク)は顔を上げ、キッと拳を握った。
その目は、星みたいにまっすぐで、夢だけを見てる光。

そして、次の瞬間。

「あっ……!!」

陸の指が止まった。
一秒後、ぱっと顔が輝く。

「……あった!!」

声が裏返りそうなくらい弾んで、

「ママー!!」

と、春の空に向かって叫んだ。

「陸~っ? 何してるの~?」

駆け寄ってきたのは、茶髪のショートワンレンボブの女性。
艶のある髪が風に揺れて、頬にかかる。
眩しい光を纏うような笑顔は、昔と変わらず明るい――いや、少しだけ大人びた。

美羽だった。

美羽はスカートの裾を軽く押さえながらしゃがみ込み、陸と同じ目線になる。

「どうしたの? なにか見つけたの?」

陸は胸を張り、小さな手のひらを広げた。
そこには――
四つ葉のクローバー。

「みて!!」

陸は得意げに笑う。

「すごいでしょ! ぼく、見つけたよ!」

「えぇ……っ!!」

美羽は目を丸くして、それからぱぁっと花が咲いたみたいに笑った。

「すごい!!陸すごいわ!!」

陸は鼻を高くする。

「でしょ!」

そして、ぎゅっとクローバーを握りしめながら言った。

「あのね!! パパとママに、これプレゼントしたいの!!」

「……」

その一言だけで、美羽の胸がじわっと温かくなる。

(あぁ、この子はいつも突然、私を泣かせにくる)

美羽は笑いながら、目尻をそっと指で拭う。

「……ありがと。最高のプレゼントだね」

陸は照れたように笑い、すぐに振り返った。

「ねぇママ! パパ呼んで!!」

「椿くん~!」

美羽はすぐ後ろに向かって手を振った。

「こっちきて!!すごいの!陸が見つけたんだよ!!」