色褪せて、着色して。~黒薔薇編~

 とんでもないことをやらかしてしまった。

 意識が戻ったスズメにも謝ったけど。
 後悔しても、反省しても。
 ぐちゃぐちゃとした気持ちは永遠に引きずるだろう。

 私は、そもそもニセ王族。
 バニラもトペニもスズメも物じゃない。

 軽率な発言で。
 護衛を傷つけた。
 他の騎士たちを説教している場合じゃなかった。
「ごめんください」
 地獄のような夜を過ごした翌日。
 朝から来客があった。

 よその騎士とよその騎士が交わることは絶対にない。
 馴れ馴れしく話しかければ、そいつはスパイだとみなされ。
 徹底的に攻撃される。

 太陽様のように、実家の騎士団を手伝うっていうのは例外なのかもしれないけど。
 基本的に国家騎士は尊敬の対象と共に。
 嫌われる存在らしい。
 そんなことを知ってしまったら。
 ここで数か月暮らすのは無理じゃないかと思えてきた。

「エアー様、騎士の方が」
「ええ。また、ゴリラあ?」
 ピアノを弾く手を止めて。
 玄関へと向かった。
 がちゃりとドアを開けると。
 立っていたのは、昨日も会った美形の騎士一人だけだった。

「えーと・・・」

 一人だよなあ? と思いながら。
 辺りを見回すけど。
 彼しか見当たらない。
「私になにか?」
 男は黙り込む。
 私はじいーと彼の顔を見た。
 前髪で目元が隠れてしまっているが、
 ぱっと見たところ、女性かと見間違えてしまうほどの容姿だ。
 ただ、背は180cmほどあるんじゃないかというくらい高く。
 太陽様を思い起こさせるような腕の筋肉が目に付いた。
「…俺に」
「へ?」
 聞こえるか聞こえないかの声で言うので。
 思わず、近寄ってしまう。

「俺に国家騎士になるための極意を教えてくれ!」