色褪せて、着色して。~黒薔薇編~

「セリ様とキキョウ様が来るそうです」
 昼食を終えて、紅茶を飲んでいると。
 電話が鳴って、バニラが誰かと話しているのが聞こえた。

「珍しいっすね。あいつらが電話かけてくるなんて」
 隣で「クカカカカ」と変な笑い声を出してお茶を飲んでいるのは。
 私の護衛係のトペニだ。
 世間的には隣国、スカジオン王国の王族で通っている私が。
 護衛と一緒にお茶なんて飲んでいるのを見たら、驚くに違いない。

 王族というのは真っ赤な嘘で。
 元貴族の血筋…しかも男爵というのが真実なのだけど。
「どうかされました? マヒル様」
 ティルレット人は茶髪に茶色い瞳、色白というのが一般的だけど。
 目の前に立つバニラはピンク色の髪の毛に真っ赤な瞳の持ち主である。
 あまりにも目立つ姿だけど。
 私自身も、金髪碧眼というこの国では目立ちすぎる容姿をしている。
「…ううん」
 音をたてないように、ティーカップを置いた。
 昨夜に感じた嫌な予感はコレのことなのだろうか