朝。
薄明の光がカーテンの隙間から差し込み、部屋にパンの香ばしい匂いが満ちていた。
透が寝返りを打つと、台所から妙に機嫌のいい鼻歌が聞こえてくる。
「……朝からうるさいな……」
重たい体を引きずってリビングに出ると、フォールがエプロン姿で振り返った。
「お、起きたか!
朝食できてるぞ。トーストとサラダ、あと――」
ミキサーを指さす。
「健康に配慮したスムージー!」
「その言い方、信用できないな」
「大丈夫だって。致死量は入れてないからね」
「基準そこかよ」
透は渋々コップを受け取り、一口飲む。
一瞬、眉をひそめ――次の瞬間、拍子抜けしたように息を吐いた。
「……あれ、普通にうまい」
「だろ?」
フォールは得意げに笑う。
「キウイとヨーグルト。あと、ほんの少しだけブロッコリー」
「“ほんの少し”って言い方が一番怪しい」
「疑心暗鬼すぎだよ、透。兄ちゃん寂しい」
言い合いながら、透はトーストをかじる。
――久しぶりに、食事の味がした。
「……なあ」
「ん?」
「監視って、こんなことまでやる仕事なのか?」
食器を洗うフォールの手が、一瞬だけ止まる。
だがすぐに、いつもの軽い調子に戻った。
「さあ?
俺は“必要だと思ったこと”をやってるだけだよ。」
ニコリと微笑むフォールは妙に優しくて、
同時に霧に包まれているように、曖昧だった。
薄明の光がカーテンの隙間から差し込み、部屋にパンの香ばしい匂いが満ちていた。
透が寝返りを打つと、台所から妙に機嫌のいい鼻歌が聞こえてくる。
「……朝からうるさいな……」
重たい体を引きずってリビングに出ると、フォールがエプロン姿で振り返った。
「お、起きたか!
朝食できてるぞ。トーストとサラダ、あと――」
ミキサーを指さす。
「健康に配慮したスムージー!」
「その言い方、信用できないな」
「大丈夫だって。致死量は入れてないからね」
「基準そこかよ」
透は渋々コップを受け取り、一口飲む。
一瞬、眉をひそめ――次の瞬間、拍子抜けしたように息を吐いた。
「……あれ、普通にうまい」
「だろ?」
フォールは得意げに笑う。
「キウイとヨーグルト。あと、ほんの少しだけブロッコリー」
「“ほんの少し”って言い方が一番怪しい」
「疑心暗鬼すぎだよ、透。兄ちゃん寂しい」
言い合いながら、透はトーストをかじる。
――久しぶりに、食事の味がした。
「……なあ」
「ん?」
「監視って、こんなことまでやる仕事なのか?」
食器を洗うフォールの手が、一瞬だけ止まる。
だがすぐに、いつもの軽い調子に戻った。
「さあ?
俺は“必要だと思ったこと”をやってるだけだよ。」
ニコリと微笑むフォールは妙に優しくて、
同時に霧に包まれているように、曖昧だった。



