それは、放課後の帰り道だった。
駅前のスクランブル交差点。
人波が途切れ、信号が赤に変わる。
――次の瞬間。
音が、消えた。
車のエンジン音も、雑踏も、風の音すらない。
世界が一枚の布になり、引き延ばされる感覚。
「……来る」
透が呟いた。
影が、地面から滲み出す。
黒く、歪で、形を定めない“虚影”。
だが――
「……待って」
芽吹の声が、背後からして硬直する。
虚影の輪郭の中に、少女の姿が混ざっていた。
長い髪。
十歳ほどの小さな背中。
透の喉が、ゴクリと音を立てる。
「……灯」
影が、笑った。
いや、笑ったように見えた。
『おにぃちゃん』
声は、複数重なっていた。
灯の声。
違う誰かの声。
そして――感情のない反響音。
「見るな!!」
フォールが叫ぶ。
次の瞬間、虚影が爆発的に増殖した。
影が影を縫い、交差点全体を覆い尽くす。
駅前のスクランブル交差点。
人波が途切れ、信号が赤に変わる。
――次の瞬間。
音が、消えた。
車のエンジン音も、雑踏も、風の音すらない。
世界が一枚の布になり、引き延ばされる感覚。
「……来る」
透が呟いた。
影が、地面から滲み出す。
黒く、歪で、形を定めない“虚影”。
だが――
「……待って」
芽吹の声が、背後からして硬直する。
虚影の輪郭の中に、少女の姿が混ざっていた。
長い髪。
十歳ほどの小さな背中。
透の喉が、ゴクリと音を立てる。
「……灯」
影が、笑った。
いや、笑ったように見えた。
『おにぃちゃん』
声は、複数重なっていた。
灯の声。
違う誰かの声。
そして――感情のない反響音。
「見るな!!」
フォールが叫ぶ。
次の瞬間、虚影が爆発的に増殖した。
影が影を縫い、交差点全体を覆い尽くす。



