跳べない君と、はねない私


普通だったら、そこら辺にいる雑談を交わす程度の男子を誘うはずだ。

普通だったら…。

アイツの迷惑なくらい陽キャなところを見落としていた。

友木は迷わず、俺の斜め後方へ声をかけた。

「羽村さん!班一緒にする?」

一瞬、言葉を理解できなかったが、理解したときにはもう遅かった。



羽村とは、あの日の放課後以来、ずっと気まずい状態だった。

確かに、こちらに視線を向けてくることはなくなった。

しかし、今度は明らかに避けられてる。
すれ違うときは、妙に距離を取られるし、なんなら、友木との会話も控えているらしい。

友木は、事情を知っている。

空気読めよ…。
なんで、この状況で羽村を誘うんだよ…。

いや、違う。

だからこそ、誘ったんだ。

そういえば…。
同じクラスなのに、気まずいなんてキツいわー。と友木がぼやいていた。

意外にも羽村は女子と群れるタイプでない。
大体、一人で過ごしていることが多かった。
どこのグループにも属していない以上、友木の誘いを断らないだろう…。


「えっと…」

後ろで羽村が口ごもっているのが聞こえた。

「誰か組む人いる?」

「いない、けど…」

「よし!じゃあ、組もうぜー。決まりで!」


詰めが甘い自分に腹がたつ。


――「後半にかけて、指先の表現が雑になってる!だからお前は詰めが甘いって言われんだよ!」

こんなときまで、練習中に飛ばされていた檄を思い出す。

胸が痛むのを誤魔化すように深い溜息をついた。