跳べない君と、はねない私



二週間前。


帰りのホームルームで「忘れてた」と担任が切り出した。

担任の小林は、典型的な中年だった。
小太りで腹の周りに肉を蓄えていた。そのせいかいつもハンカチで汗を吹いている。

極めつけは、頻繁にもの忘れをすることだ。

だから、なにかを忘れているのと自体は珍しくはなかった。

「宿泊研修の班決めをします~」

小林の態度から、面倒くさがっているのがわかる。

偏差値と大学受験進学実績のこと以外、どうでもいいと思っているのかもしれない。

「ま、帰る前に4,5人で班作って、黒板に書き出しといて」

と、雑な指示をして、小林自身は職員室に帰ってしまった。

宿泊研修のスケジュールはもう配布されていた。

中学の頃のようなレクリエーション中心のものではない。
進路学習、自主学習の研修がメインで。

1日目でそれらをみっちりした後、2日目の午後にやっつけ仕事のようなレクリエーションが予定されている。

しかも、ご丁寧に雨天の際は自主学習とまで書かれていた。

「翼?どうするー?」

友木が近寄ってきて、尋ねてくる。

「どうでもいい」

俺の感想も、小林と変わらなかった。

「わかった。適当にグループ集めるわ」



――今、思えばこのとき。もっと真面目に考えていればよかった。


友木の性格をもっと考慮すべきだった。