「……え? お見合い話って、この私にですか?」
珍しく兄の自室に『一人で来るように』と呼ばれたと思ったら、いきなり見合いの話をされて思わず聞き返してしまった。
そんな私の返事に、兄は一瞬だけ不愉快そうな表情を浮かべたのだけれど。それでもいつものような厳しい𠮟責はなく、そのまま先ほどの話の続きを聞かされて。
「俺の知人がお前を紹介して欲しいそうだ。クリエイティブな分野の企画を専門とした会社経営してる奴で、お前には勿体ないくらいの良い話なんだよ」
「そう、なんですか」
私には勿体ないくらい良い話ならば、本当にそのまま自分に伝えられるとは思えない。きっと私に……というよりは、この兄や古城の家にとって都合の良い縁談という事なのでしょう。
もちろん私には、そのお見合い話を受けるという選択肢しかないのでしょうし。
「それで、お見合いはいつ頃なのでしょうか? それなりに準備も必要だと思うので……」
「見合いで恥をかかれても困るからな、そのために店に予約をいれている。俺の妻にバレないよう、周りには余計な事を話さず一人で行って来るんだ」
どうして兄嫁にバレないようにする必要があるのか、気にはなったが余計な事を詮索すれば怒られるのは分かっているので黙って頷いてみせる。
この家の中で私が知ることが出来る事なんて、たかが知れていて。それが自分の事であっても、結局は一番最後にしか教えてはもらえない。
そんな諦めもあって、兄に言われるままにお見合いの日のための準備をすることになった。
そして……

