それに……彼女らの話していることは何も間違ってはいない。私は古城家の人たちから、酷く疎まれている存在なんだもの。生まれた時からそうだったのかは知らないけれど、物心ついた頃には私はあの家には居ないものとして扱われている。
この会社で専務を務めている兄には特に嫌われているようで、彼に近い社員からの嫌がらせは酷くなるばかり。最近では、帰宅するのが深夜になることも少なくない。
そんなに邪魔なのならば家を追い出せばいいのにと思うけれど、社長令嬢の私にはまだ何かしらの利用価値があるらしく。
数回あの屋敷から自力で逃げ出そうとしてみたが、結局は捕まって……その度に厳しい躾を受けた。
「それにしても、いつみても綺麗だわ! とてもお子さんがいるようには見えないのよね、美弥先輩って」
「そうそう。それに同じお屋敷に住んでるとは思えないのよね、どこかの誰かさんとは大違いで!」
今度は兄嫁である美弥さんと私を比べて笑っているらしい。確かに彼女は美人で、兄の必死のアプローチでやっと結婚まで漕ぎ着けたのだという話を聞くほどだった。
ほとんどの社員は兄や兄嫁の美弥さんの言葉通りに私を【厄介者】として扱い、自分よりも下の存在として見下してくる。
そんな環境で生きていくためには、ひたすら自分の心を殺すしかなかった。
私の夫となる、瀬戸口 諒さんに初めて出会えた。
そう、あの日までは――

