「コジョーさん、この書類を急ぎでお願いします〜。今日が締め切りなんで、絶対に間に合わせてくださいね!」
ベテランの女性社員は意地悪な笑みを浮かべながらそう言うと、私のデスクにドサドサと書類の束を置いてさっさと自分の席へと戻っていく。私にとってはこれが普段通りの事なので、いまさら気にはしていられないのだけど。
「もぅやだあ〜、先輩ったら! 彼女の名前はコジョーじゃなくて古城さんじゃないですか、それに一応は社長の娘さんらしいですし? いいんですか、あんな扱いしちゃって〜」
先程の女性社員にそう話しかけているのは、私にとっては同じ部署の後輩になるのだけれど。決して良い意味で私のことを話しているのではないことは分かっている。
毎日繰り返されるこの会話は、彼女たちから私への嫌がらせに過ぎなくて。
「いいのよ、あの子は社長の娘だって認められてないって社内では有名な話だし。同じ古城の名前を名乗られるのも迷惑だって、専務も言っていたもの」
「ええ〜、そうなんですか! 私だったら耐えられないかもぉ〜、コジョーさんって意外と図太いんですねえ」
そう言って二人で楽しそうに給湯室へと消えていく、これもいつも通りのこと。
就職したばかりの頃はそういった周りの心無い言葉に傷付きもしていたが、何年も続くと心も麻痺してしまったようであまり痛みも感じなくなってきた。

