冷徹御曹司による甘やかな執愛契約婚

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 最初はちょっと覗くだけのつもりだった、その先に何があるのかという子供の好奇心で。隠された小さな抜け道のようなものを見つけてしまって、どうしてもそれが気になったのだ。
 それにどんな危険が潜んでいるかなんて考えず、興味があることに突き進んでしまう性格だったのかもしれない。だからこうなるんだと、母にいつも叱られたような気がする。
 ――そう、この時も確かそうだった。

「……どうしよう、出口が分かんなくなちゃった」

 もうそろそろ夕方で、ここから見える空は茜色に染まり始めている。来た道を戻りたいだけなのに、進めば進むほど帰り道が分からなくなって。
 周りは木や草が生い茂っていてどこも似たように見える、ただ真ん中にある古い屋敷の見える角度が変わるだけ。もうどうすればいいのかも分からなくなって、涙で視界も滲んできた頃……

「ねえ、そこで何してるの? もしかして泥棒、なわけないよね」

 いつからそこにいたのだろう、髪の長い少女が怪訝な表情で私に話しかけてきた。もしかしてここに住んでいる子だろうか? 私よりもいくつか年上に見えるけれど、こんな綺麗な子は初めて見る。
 ここは田舎町で住んでる人はほとんど顔見知り、こんな美しい女の子がいれば知らないはずないのに。

 だけど今はそんな事を考えている場合じゃない、もしかしたらこの子に外に出る方法を教えてもらえるかもしれないのだから。
 そう思って私は必死に自分の状況を説明しようとするが、こんな時に限って上手く話せなくて。