2026年3月、卒業式当日。 かつては複雑に絡み合い、誰かが傷つかなければ進めなかった4人の糸が、今はそれぞれの色で輝き、一本の未来へと繋がっていた。 式を終え、校庭の桜が数輪だけ、季節を先取りして蕾を綻ばせている下で、4人は集まった。 莉乃と翔は、自然に手を繋いでいる。かつての「幼馴染」の距離はもうそこにはない。 「翔、これからもずっと、私の隣にいてね」 莉乃が言うと、翔は照れくさそうに、でも力強く頷いた。 「当たり前だろ。もう、一生離さない」 そこへ、少し照れながら歩み寄ってきたのは、蓮と、その隣で幸せそうに微笑む寧々だった。 「………………莉乃、翔。おめでとう。それと・・・・・・ありがとう」 蓮はもう、無理に笑ってはいなかった。寧々の隣で、心からの穏やかな顔をしていた。 「莉乃、蓮くんを私に譲ってくれて、ありがとうね」 寧々の冗談混じりの言葉に、4人は顔を見合わせて笑い転げた。 2026年。 幼馴染の恋、略奪の予感、秘めたる片想い。 痛いほどに純粋だった彼らの「青い春」は、ここで一度幕を閉じる。 けれど、校門を出たその先には、4人で笑い合える、もっと眩しい未来が待っている。 「じゃあ、行こうか」 誰かが言ったその言葉を合図に、4人はそれぞれの新しい扉を開ける。 振り返ることはない。 彼らの胸には、一生消えない、最高に切なくて愛おしい「3年間の四重奏」が鳴り響いているから。
