四色の糸が解けるまで

、消しゴムを貸し借りする瞬間に触れ合う指先。それだけで莉乃の胸は熱くなり、かつては「幼馴染」という名前の壁に泣いていた日々が、嘘のように愛おしく感じられた。 一方、蓮はまだ、心に空いた莉乃という名の穴を埋められずにいた。 推薦入試を終え、所在なく過ごす蓮の傍に、冬の凍てつくような寒さの中でも欠かさず通い続けたのは、寧々だった。 「蓮くん、これ。あったかいココア。甘いやつだよ」 2月の放課後。誰もいない教室で、寧々は自分の頬を真っ赤にしながら、蓮に缶飲料を差し出した。 「寧々・・・・・・お前、自分の受験だってあるのに。なんでいつも俺に構うんだよ」 「・・・・・・なんでかな。自分でも、バカみたいだって思うよ」 寧々は窓の外を見つめ、白く濁る吐息を漏らした。 「蓮くんが莉乃を想って泣いてるのを見るのが、何よりも辛かった。・・・・・・莉乃を忘れなくていい。でも、そんなに自分を責めないで。蓮くんは、私が知ってる誰よりも、真っ直ぐで優しい人なんだから」 その時、蓮は初めて気づいた。 自分が莉乃という「過去」に固執して背を向けている間、ずっと自分の背中を温め、影から支え続けてくれていたのは、親友の幸せを願いながらも、自分の愛に殉じてきた寧々の存在だったのだと。 「・・・・・・寧々。お前、もしかして」 蓮がその手を伸ばし、寧々の冷えた指先に触れる。 「遅いよ、蓮くん。・・・・・・本当に、遅すぎるよ」 寧々の目から、大粒の涙がこぼれ落ちた。蓮はその華奢な体を、今度は迷いなく抱き寄せた。